独立行政法人 水産総合研究センター 日本海区水産研究所
地域研究集会 シンポジウム「対馬暖流域における海洋環境と漁業資源の中長期変動」
日本海区水産研究所では,2007年11月9日に新潟市内ガレッソホールにおいて,水産海洋学会と の共催により標記シンポジウムを開催しました。当日は府県の水産試験研究機関の職員をはじめとして,66名の方々にお集まりいただき,対馬暖流域の水温変 動と漁業資源について,活発な議論が行われました。なお,本シンポジウムの講演要旨(下記9題)が,水産海洋学会の発行する学術誌「水産海洋研究」に掲載される予定です。

■対馬暖流域表層の海洋環境の経年変化について  加藤 修・山田東也・渡邊達郎(日水研)
■日本海固有水の経年変化について  千手智晴(九大応力研)
■日本海における環境変化と魚類相の変化  田 永軍(日水研)
■スルメイカの資源変動と環境要因の関係  木所英昭(日水研)
■対馬暖流域を含む日本周辺のマイワシの資源変動と環境要因の関係  大下誠二 (西水研)
■日本海北部におけるブリの漁況変動と海洋環境  井野慎吾(富山水試)
■ソデイカの資源変動・漁場形成と環境要因との関係  宮原一隆(兵庫但馬水技セ)
■対馬暖流域におけるサワラの分布・回遊の変化について  井上太郎・和田洋蔵(京都海洋セ)
■日本海西部海域の底魚資源と海洋環境  倉長亮二(鳥取水試)

【開催趣旨】
対馬暖流域のスルメイカやブリ資源では,近年,十年周期や二十年周期の豊・不漁期サイクルが確認され,レジームシフト等の海洋環境との関係で中長期変動機 構が解明されつつある。一方,IPCC4次報告では,20世紀半ば以降の気温上昇が人為的起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高 い(確率90%以上)とされた。気象庁の発表によると日本海中・南部は過去約100年間で+1.2~1.6℃昇温している。今後この温暖化傾向が漁業資源 に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。本シンポジウムでは,中長期のデータ解析に基づいて漁業資源と海洋環境の関係についてレビューを行い,海洋環 境変動が漁業資源変動に及ぼす影響について,新たな研究の方向性と将来の予測について議論を行う。

ほぼ満員の会場


活発な質疑応答


NHK新潟放送局の取材に答える当所所長

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