雷鳴がとどろき、海は大荒れになる真冬、秋田県の男鹿半島では、ハタハタが産卵のため大群となって押し寄せてきます。漁師さんたちは、この時期、「番屋」という海岸近くの小屋で生活し、ハタハタがやってくるのを待ちます。そして、姿がみえると岸からすぐのところに網を入れて一日中たくさんのハタハタを水揚げし、2週間ほどで漁は終わります。これが秋田の「季節ハタハタ漁」と呼ばれるものです。
秋田では、真冬の貴重な海の恵みとして大切にされ、漢字では神の魚という意味で「鰰」とも書かれます。また、県の魚にも指定されていて、古くから人々に親しまれています。
このように、ハタハタと言えば秋田県というイメージはあるものの、実は日本海沿岸の各府県でもとられています。冬は秋田県で卵を持った大きいハタハタがたくさんとれますが、春や秋には鳥取県や石川県で、底びき網という漁法で小さいハタハタがたくさんとれているのです。