資源管理部
さけます調査普及グループ
研究内容
- 本州日本海におけるサケマスのふ化放流に関わる技術開発と調査を行っています。(図1・2)
- 秋田県から富山県に所在するサケマスふ化場への技術普及と講習を行っています。(図3・4)
図1.サケ稚魚の適正な放流時期とサイズを明らかにする技術開発
サケの卵の時期に飼育水温を上下することにより、平衡をつかさどる頭部にある耳石にバーコードのような標識が付きます。3~5年後に河川回帰した親魚の頭部から耳石を取り出して標識を確認し、回帰率を求めることにより、適正な放流方法を開発します。
図2.サケ親魚の年齢組成調査
調査河川は、秋田県川袋川、山形県月光川、新潟県三面川・名立川、富山県庄川、石川県手取川、合計6河川です。
図3.秋田県から石川県に所在するサケマスふ化場の位置図
・図中の●は、ふ化場の位置
・秋田県13ヶ所、山形県13ヶ所、新潟県21ヶ所、富山県7ヶ所、石川県1ヶ所、合計55ヶ所のふ化場があります。
図4.ふ化場の担当者を参集した講習会風景
秋田県、山形県、新潟県、富山県において年に1回ずつ、技術普及の際に観察された留意点、ふ化場からの要望事項及び新しく開発された技術について、ふ化場担当者に参集していただき、講習会を開催しています。
28年度の主な研究開発課題等
本州日本海側のサケマスの資源、環境・生態及びふ化放流に関する技術に関わる調査を実施するとともに、その成果を秋田県から富山県までのサケマスふ化場へ技術普及します。これまで(調査普及課当時)の研究成果等
- 豊かな海づくり大会と一般公開(SALMON情報第3号 16-17頁)PDF
2008年9月新潟県で開催された豊かな海づくり大会と例年実施している一般公開において、調査普及課が展示したサクラマスに関する情報を紹介してます - シリーズ:日本海のさかなたち サクラマス ~ヤマメとはどんな関係~(おさかな瓦版第40号)PDF
サクラマスとヤマメの違いやその一生を小学生にもわかるように紹介してます。 - 超音波発信器によるサクラマス親魚の行動追跡(SALMON情報第5号 9-11頁)PDF
調査普及課では近年著しく減少している本州日本海側サクラマスの資源造成に向けて、親魚の越夏行動を明らかにする調査を行ってます。ここでは、河川内で刺し網により採捕した親魚に超音波発信器を取り付けて追跡調査した結果を紹介してます。 - サケ卵のふ化率を向上するための採卵・採精及び受精に関する調査(SALMON情報第4号 15-16頁)PDF
本州日本海側の河川では、そ上してきたサケ親魚を採捕して翌年の春に稚魚を放流するための卵を採っていますが、作業員の確保が困難であり、施設や道具が十分に整っていないふ化場において、ふ化する稚魚を多くするためにはどうしたら良いかを調査しました。すると、採捕した♀の親魚から直ぐ卵を採って数㎞離れたふ化場に運んでから、前もって池に生かしておいた♂の親魚から採った精子と受精させると効率的であることがわかりました。 - 本州日本海域サクラマス資源管理技術の開発(プロ研への参加)(SALMON情報第2号 12-14頁)PDF
本州日本海側で著しい資源減少が見られるサクラマスを増やすために、水産総合研究センターでは3年間に亘って、秋田県、山形県及び富山県の研究者とともに研究を始めました。そこで、調査普及課が行ったサクラマス親魚の越夏環境の調査を紹介してます。 - 日本海区水産研究所が取り組むさけます類に関する業務(SALMON情報創刊号 20-21頁)PDF
2008年4月に日水研にさけます類に関する業務を担う部署ができ、秋田県から石川県までの人工増殖事業に関わる技術開発と技術普及、さらに河川にそ上したサクラマス研究や一般公開での業務を紹介してます。 - 卵を出せば受精能力は保持できるか-サケ卵の劣化試験から-(日本海R&T 7号 12-13頁)PDF
本州日本海側の河川では、そ上してきたサケ親魚を採捕してから精子は30分以内、卵は120分以内に受精に使うと死亡する卵が減ることが調査でわかりました。しかし、現地からはさらに時間を延ばせないかの要望があり、卵を体外に出して放置してから精子と混ぜる場合と精子と卵を混ぜて放置した場合について調査しました。すると、体外に出した卵は120分以内、精子と混ぜた卵は30分以内であり、時間延長にはなりませんでした。 - メスを冷やせば受精能力は保持できる-サケ卵の劣化試験から-(日本海R&T 5号 10-11頁)PDF
本州日本海側の河川では、そ上してきたサケ親魚を採捕して翌年の春に稚魚を放流するための卵を採っていますが、ふ化するまでに死亡する卵が多いことから、どうしたらふ化する稚魚を多くできるか調査しました。すると、♀の親魚を採捕してから120分以内に卵を採取して使うと良いことがわかりました。また、体温を下げると240分まで伸びました。 - オスを大事に扱えば受精成績は上がる-サケ精子の劣化試験から(日本海R&T 4号 10-11頁)PDF
本州日本海側の河川では、そ上してきたサケ親魚を採捕して翌年の春に稚魚を放流するための卵を採っていますが、ふ化するまでに死亡する卵が多いことから、どうしたらふ化する稚魚を多くできるか調査しました。すると、♂の親魚を採捕してから30分以内に精子を採取して使うと良いことがわかりました。 - ふやそう!サクラマス(日本海R&T 3号 3-5頁)PDF
サクラマスは、身が桜色で脂がのっており富山県名産品「鱒寿司」にも使われるなど商品価値の高い本州日本海側の重要魚種ですが、近年この資源は減少してます。そこで、河川へそ上したサクラマスの生活史を照会するとともに、減少原因を紹介してます。 - 民間さけふ化場で生産率が向上(日本海R&T 2号 3-5頁)PDF
新潟県五泉市にある能代川ふ化場において、親魚の採捕から稚魚の放流までの全面的なふ化放流技術の見直しと技術普及を行いましたところ、受精卵から放流に至るまでの生産率が例年に比べて約20%も上昇しました。 - 日水研でさけますの調査技術の普及開始(日本海R&T 1号 8-9頁)PDF
2008年4月に日水研にさけます類に関する業務を担う部署ができ、秋田県から石川県までの人工増殖事業に関わる技術開発と技術普及が開始されました。
グループの構成
- グループ長:阿部 邦夫
- 主任技術員:江田 幸玄
- 技術専門員:水澤 亮馬