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日本海のおさかな図鑑
ズワイガニ(学名:Chionoecetes opilio)
- 流通名、地方名:
- 英名:
Snow crab、Queen crab
- 料理方法:
新鮮なものは刺身でも食べるが、ゆでガニ、蒸しガニ、焼きガニ、鍋などの加熱料理が一般的。天ぷらやしゃぶしゃぶなどもおいしい。
缶詰に加工されたものは、かにチャーハンやサラダ、かにコロッケなどに利用される。 - 分布・回遊:
日本海における本種の分布範囲は水深200~500mのほぼ全域に及び、日本海を環状にとりまく大陸棚斜面の縁辺部、および日本海中央部に位置する大和堆に広く分布する(図1)。成熟後は雌雄で分布の中心となる水深が異なり、260~300mを境にして、より浅い水深では主に雌ガニが、より深い水深では主に雄ガニが、それぞれ分布する。ズワイガニは孵化後、約2~3ヶ月の浮遊幼生期(プレゾエア期、ゾエア期(2期)、メガロパ期)を経て稚ガニに変態し、着底する(今1980)。 着底後の移動は主に浅深移動で、水平的に大きな移動をする例は少ない(尾形1974)。
- 年齢・成長:
ズワイガニを含む甲殻類には、魚の鱗や耳石にあたるような年齢を査定する形質がない。従って、主に脱皮齢期ごとの平均甲幅を追跡することで相対年齢が推定されている。
日本海西部海域のズワイガニでは脱皮齢期と甲幅の関係が図2のように整理されている。
稚ガニ及び未成熟ガニでは成長に雌雄差はなく、10齢(稚ガニから9回脱皮)で甲幅60mm台となる。孵化から10齢までの期間は雄、雌とも6~7年と推察される。
雄では主に11齢から最終脱皮(体のサイズに対しハサミが大きくなる)し始め、ほとんどの雌は11齢で最終脱皮(腹部が大きくなり外卵を持つ)する。最終脱皮後は脱皮しない。雄の最高脱皮齢は13齢であるので、寿命は10歳以上と考えられる。 - 成熟・産卵:
雌は、夏から秋にかけて最終脱皮し、直後に交尾・初産卵して外卵を持つ。1年半の抱卵期間を経て、翌々年の2~3月に幼生が孵化し、孵化後短期間のうちに経産卵を行う。その後は1年の抱卵期間を経て、毎年2~3月に経産卵する。
雄は、脱皮直後の漁期には「ミズガニ」という甲羅の柔らかいカニで漁獲される。このミズガニが生残した場合、次漁期からは甲羅が硬くなり「カタガニ」と呼ばれる。雄では最終脱皮時にはさみが体サイズに対し大きくなるので、ミズガニにははさみの小さい個体と大きい個体が混在し、カタガニははさみの大きい個体のみである。 - 被捕食関係:
甲殻類、魚類、イカ類、多毛類(ゴカイの仲間)、貝類、棘皮動物(ナマコの仲間)など多様な餌を食べる。またズワイガニ小型個体はゲンゲ類、カレイ類、ヒトデ類などに捕食されている。
- 漁業の状況:
富山県以西ではほとんどが沖合底びき網(沖底)、新潟県以北では主に小型底びき(小底)と刺網によって漁獲され、他にはかにかご等による。
省令により、富山県以西の漁期は雄で11月6日~3月20日、雌で11月6日~1月10日、新潟県以北では雌雄とも10月1日~5月31日。両海域とも甲幅90mm未満の雄と未成体雌は禁漁。
さらに富山県以西では、初産雌(アカコ)の禁漁、漁期の短縮、禁漁区の設定、甲幅制限および航海あたりの漁獲量の上限などの、漁業者による自主規制を設けている。 - 平成27年度 日本海の資源状態:
海域 水準 動向 富山県以西 中位 横ばい 新潟県以北 高位 減少
エチゼンガニ(雄、若狭地方)、マツバガニ(雄、山陰地方)、コッペ(雌、若狭地方)、セイコガニ(雌、山陰地方)、コウバコ(雌、北陸地方)。その他いくつかのブランド名が存在する。近縁のオオズワイガニ(学名Chionoecetes bairdi:バルダイ)と区別するためにオピリオと呼ばれることもある