解説

水産研究・教育機構 水産資源研究所
海洋環境部 暖流第3グループ 新潟

解説

概要

本webサイトで公開しているデータ・水温図は、水産庁委託事業我国周辺資源評価・調査事業を基盤に日本海に面した道府県によって得られたもの、または、ボランティアによって提供されたデータを、水産研究・教育機構水産資源研究所新潟庁舎で取りまとめ、一般に公開されているデータも加えつつ処理・作図したものです。従いまして、ここで提供している情報は、基本的には水産試験研究、水産海洋に関わる試験研究等に用いられることを想定しています。

システム

・水温図

船舶等によって得られた時空間的にばらばらなデータを使い、日本海を1/12°のマス目に切った格子点における水温値を、空間的に内挿計算することで算出します。その格子データを使って、水温の水平分布を描いています。格子点の中心から半径30km以内にデータが無い場合は、その格子点の水温は欠測となります。

ひと月の定義を前月の21日~当月の20日とし、その期間に収集されたデータを使って内挿計算・作図を行っています。これは、上述の事業で実施している海洋観測を、月頭に行うよう調整しているという事から決められています。しかし、天候によっては調査期間にばらつきが生じる事があります。

計算・作図は一日に1回自動で行われます。その日までにデータベースに登録されたデータが反映された図・データが本webサイトにアップロードされます。ご提供頂いたデータのデータベースへの登録は、可能な限り当日に行いますので、送って頂いた水温値は翌日には図とデータに反映されるシステムになっております。

水温偏差は、1986~2015年までの各種水温データを用いて算出した各格子点における水温平均値・標準偏差を元に作成しています。

・0.5°領域水温データセット

上述の1/12°格子データを用いて算出した0.5°格子データセットです。このデータセットは一日に1回、1964年から再作成されます。過去のデータを送って頂ければ翌日にはデータセットに反映されます。また、データの配布形式は各格子点での時系列としており、数値は各格子点・各月での平均値・標準偏差を用いて算出した標準化した値となっています。平均値・標準偏差は、1964年から最新値までのデータを用いて毎回再算出します。上記の水温偏差水平分布に使用している平均値・標準偏差とは異なりますので、ご注意ください。

データの並び
#year FEB DEC 月表示
#T_mean9.93 14.79 各月別平均値
1964 -9.99 -9.99 1964年の標準化した水温値(-9.99は欠測値)
1965 1.26 -0.19 1965年の標準化した水温値
2020 2.65 1.18 2020年の標準化した水温値
2021 2021年の標準化した水温値(空白は調査を開始していない事を示す)

・各種解析情報

0.5°領域水温データで算出した各月水温偏差の経年変動と、気候インデックス、漁獲量、資源量等の経年変動との相関係数を求めた結果を水平分布としてプロットしています。現在示してある例では、MOIという、冬期季節風の強弱を示すインデックスの経年変動との相関・逆相関が高い海域が赤・青系の領域として着色される図が示されています。例えば、この気候インデックスを、ある魚種の漁獲量のデータに置き換え、同じ計算をすれば、漁獲量変動と類似した水温変動を持つ海域を見つけることができます。このような解析、情報提供を順次進めたいとおもいますので、同様の解析を行いたいとお考えの方がおられましたら、igeta@affrc.go.jpまでご連絡ください。相談の上対応いたします。