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隔地庁舎のご紹介

宮津庁舎

  • 地域の特色
  • 宮津庁舎地図
     日本海区水産研究所宮津庁舎のある京都府宮津市は丹後半島の東の付け根に位置し、天然の良港として古くから栄えた街です。
     宮津湾周辺では、ほぼ一年中アカアマダイの延縄漁業が行われ、そのアカアマダイは鮮度が良く美味なことから「丹後ぐじ」としてブランド化され高値で取り引きされています。
     また、天の橋立に囲まれた阿蘇海で漁獲されるマイワシは丸々肥えた「金太郎いわし」としても有名です。
     冬には日本海を代表する味覚の王者、ズワイガニが漁獲され、解禁と同時に京都や大阪方面からの観光客が増加します。
     宮津庁舎は、日本海対馬暖流域における重要魚介類に関する栽培漁業技術開発の拠点として、昭和59年度に開所しました。

  • 沿革
  • 宮津庁舎写真
     宮津庁舎は当初、社団法人日本栽培漁業協会若狭湾事業場宮津施設としてスタートしましたが、その後施設の拡充等により、昭和62年度には同若狭湾宮津事業場、平成15年度10月からは独立行政法人水産総合研究センターとの統合によって、宮津栽培漁業センター、平成23年4月からは日本海区水産研究所宮津庁舎の名称に変わり、資源生産研究部が置かれました。

  • 施設の概要

    敷地面積は19,711㎡で、海岸線を埋め立てた平坦な土地に建物が配置され、開所当初には管理棟、設備棟、実験棟、種苗生産棟、親魚養成棟、車庫が整備されました。昭和60年度には隣接に関西電力火力発電所が建設されため、取水が発電所の温排水の影響を受けないように500m沖の水深10mの取水塔からφ100cmの導水管によって場内に導かれています。
     昭和61年度には日本海特有の天候に合わせ、上屋が開閉可能なキャンバス地の餌料培養棟(1)、昭和62年度には倉庫、ナンノクロロプシス濃縮用の遠心分離機を収納した機械室、平成元年度にはヒラメ種苗生産、および冬場のナンノクロロプシス培養のための量産棟(餌料培養棟(2))、平成5年度にはアカアマダイ専用の施設として60トン水槽4面と冷却設備を有する採卵棟、平成6年度にはワムシ、アルテミアノープリウスの栄養強化を行う飼育実験棟が順次整備され、平成13年度にアカアマダイの量産化に伴い、既存の採卵棟の60トン水槽4面を中間育成施設として併用するため熱交換機を増設しました。 さらに、平成19年には疾病防除の対策として電解殺菌装置を備えた海水殺菌処理施設が建設されました。

  • 研究開発の歴史
    • 研究開発対象種の変遷

      対象魚種は、地元の要望をふまえて当初アカアマダイ、ムシガレイ、ヤリイカ、エビ類(クロザコエビ)とし、各魚種の生理、生態についての基礎的な知見の集積、および種苗生産に関する技術の開発に着手し、昭和60年度には日本海の共通魚種であるヒラメが加えられました。その後、アカアマダイ、ムシガレイ、ズワイガニ、およびヒラメの計4魚種にしぼり技術開発を行ってきましたが、最近はヒラメ、アカアマダイの種苗生産、放流技術の高度化に取り組んでいます。

    • ヒラメ

      ヒラメ由良川放流H21

      ヒラメ由良川放流H21

       若狭湾ではヒラメの放流調査を実施し、アミ類の多寡が放流後の生残、成長へ影響を及ぼすことが分かりました。また、種苗の大きさとアミ類の残存量のバランスによって放流種苗の魚食性への転換が起こり、放流海域からの逸散に大きく影響することが分かりました。若狭湾でのヒラメの回収率は、1~4%であり、放流の時期、場所、サイズで回収率が変動することが分かってきました。
       今後、アミ類の発生を予測し、発生量の多い場所、時期にヒラメ種苗を放流することで初期生残率を高め、放流効果を向上させたいと考えています。

    • アカアマダイ

      巣穴とアカアマダイ

      巣穴とアカアマダイ

       種苗生産技術開発は昭和59年度から着手しましたが、水槽内での自然産卵では、親魚数が限定され、計画的な受精卵の確保が困難でした。しかし、平成9年度から人工授精を中心とした採卵技術開発に転換し、精子の抽出方法及び保存方法を開発し、短期間で数十万粒の受精卵を確保できるようになりました。種苗生産では、飼育初期に仔魚が水面へ蝟集し死亡する「浮上死亡」の防止により、近年では生産尾数が徐々に伸びています。
       問題点として、椎骨屈曲症等の形態異常発生およびVNN(ウイルス性神経壊死症)の発生による生残率の低下があり、それらの問題を解決し、量産化への技術開発を目指す必要があります。

    • スルメイカ

      スルメイカ

      ふ化後3日のスルメイカ
      (外套長約1mm)

       スルメイカの資源量は,漁獲量や海洋環境の変化によって大きく変動します。しかしスルメイカの漁獲対象になる段階以前の産卵やふ化、成長の知見はほとんどないため、変動のメカニズムが不明となっています。
       そこで,スルメイカの幼生期の段階を中心に摂餌・代謝と水温との関係を飼育実験により明らかにしていきます。
       そして水温と生物特性の関係を用いて日本海におけるスルメイカの発生時期・回遊経路別に成長の変化をシミュレーションし、海洋環境の変化がスルメイカ漁業へ与える影響を明らかにします。

    • ワムシ

      シオミズツボワムシ(ワムシ)

       平成10(1998)年度よりワムシ培養技術の開発にも取り組み、培養を安定化できる粗放連続培養法とワムシ10億個体を生かしたまま送れる高密度輸送法を開発し、普及に努めてきました。平成18(2006)年9月より培養不調が発生して原因調査を行い、培養水中の細菌の影響を突き止め、安定培養に向けた細菌叢の解明や、遺伝情報に基づいたワムシの育種、有益な小型餌料生物の大量培養、環境保全や防疫に有効なワムシ培養法、有益なワムシ株の収集、保存などの技術開発を行っています。

  • 研究課題の全体計画(H23~27)
    • ヒラメ、アカアマダイの種苗生産技術の高度化(交付金一般研究)

       種苗放流による沿岸域の効率的な利用を進めるためには、経済性、生産性を両立した放流種苗の量産技術の確立が必要である。そこで、飼育初期から放流までの生産性、形態異常などの改善による健全性、遺伝的多様性の向上と生産コストの低減により、効果的放流を行うための量産規模での生産技法を提案する。

    • ヒラメ、アカアマダイの種苗放流技術の高度化(交付金一般研究)

       種苗放流の事業化が長年進められてきたが、その放流効果が不透明となっている事例が多い。放流初期の生残が回収率・再捕率の低迷の原因として指摘されている。そこで、生残に好適な放流場所、餌料環境,放流サイズ(時期)を明らかにするとともに、放流後の食害,天然魚の加入状況、放流種苗の馴致方法等を把握することにより、より効率的な種苗放流を可能とし、放流効果を向上するための提案を行う。

    • 地球温暖化による沿岸漁場環境への影響評価・適応技術開発
       高温耐性をもつ天然ヒラメの探索(水産庁委託事業)

       高温耐性家系候補親魚を含む親魚群から生産した種苗を用いて事業的飼育(養殖)により生産性を確認するための混合飼育を実施する。高温耐性家系候補(F1)の親魚としての養成飼育を行う。

    • ワムシ・アルテミアの生産安定化技術の開発(交付金一般研究)

       魚介類の幼生の飼育でワムシとアルテミアは重要です。ワムシでは、培養を安定させるため、細菌叢の全容解明を行い、有益な細菌叢が成立しやすいワムシの培養管理条件を検討します。また、小型餌料のプロアレスの適正な培養条件や餌料を解明し、大量培養技術と栄養強化技術を開発します。
      アルテミアは、海外からほとんどが輸入されています。安定確保を目的にアルテミアの耐久卵の生産技術を開発します。

    • 閉鎖循環型施設等による陸上養殖技術の開発(交付金一般研究)

       閉鎖循環式システムによるワムシ培養技術を確立するために、様々な培養条件における適正な培養管理手法を解明します。また、閉鎖循環式システムで生産されたワムシの生産性やコスト及び餌料価値等を検証します。

    • 遺伝資源の保存管理技術の開発(ジーンバンク事業)(交付金一般研究)

       育種を目的に、有用形質を持つワムシ株の収集と保存を行います。また、有用な特性を調査し、その有用特性を維持しながら、長期にわたり安全に保存します。これらの保存株の中で、普及可能な有用株については、「水産遺伝資源配布規程および配布要領」に従い、有償配布を行います。広報活動やインターネットを通じて、配布可能な有用遺伝資源の特性を公開し、普及を図ります。

    • 国内の公的機関で利用されている主要なワムシ株の遺伝的な系統判別(シーズ研究)

       国内の公的な種苗生産期間で主要に利用されているワムシ株を入手し、それらの株の形質(サイズや増殖能等)を調べるとともに、各株のミトコンドリアDNAのCOⅠ領域での塩基配列を解析して、それに基づく系統樹を作成して各株の遺伝的な系統判別を行います。

    • 日本海砂泥域重要魚類(ヒラメ、アカアマダイ、マダラ)種苗放流技術の高度化

      (マダラ)過年度に放流した当歳魚放流群、主に平成18年度放流群の追跡調査を行い、時期別・サイズ別の回収率を明確にします。
      (トラフグ)産卵場・育成場のさらなる探索による放流適地とサイズ別放流による適正放流サイズを検討します。当才魚、1才魚の放流魚混入率、回収率から経済効果を検討します。七尾湾に産卵回帰する親魚群に混入する放流魚の回収率から経済効果を検討します。

    • ワムシ培養技術研修

      都道府県の水産試験場,栽培漁業センター,公益法人等の栽培漁業関係者を対象に,ワムシ培養に関する技術について研修を行い,ワムシ培養技術の普及と定着を行っています。

  • 宮津庁舎へのアクセス

    宮津庁舎 Google Map

    宮津庁舎

    • 住所 〒626-0052 京都府宮津市小田宿野1721番地
    • 電話 0772-25-1306   FAX 0772-25-1307
    • 交通アクセス
      • 北近畿タンゴ鉄道「宮津駅」下車、タクシーで約15分
      • 京都縦貫自動車道「宮津天橋立IC」から舞鶴方面へ約10km 約20分