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資源管理部

資源生態グループ

研究内容

 資源生態グループでは、日本海に棲息する様々な重要魚介類を対象に、その資源量の変動に関わる生態解明の研究を行っています。一口に「生態解明」と言ってもその内容は幅広く、卵・稚仔から親までの一生涯における、分布、成長、成熟、食性などを調べています。

 現在、対象としている主な魚介類
・魚類:アカガレイ、マダラ、ハタハタ、サワラ、マイワシ・カタクチイワシ(卵稚仔)
・甲殻類:ベニズワイ、ホッコクアカエビ
・その他:スルメイカ(幼生)

 研究の大きな目的は、日本海の漁業が末永く続き、そこで獲られる美味しい日本海の幸を永続的に食することができるよう、少しでも役に立ちたいということです。それに向かって、いろいろな魚介類に関する生態研究に全力を尽くして参ります。以下に、現在の主な業務内容を紹介します。

調査船による調査

調査船による調査(クリックすると拡大します)

1. 重要底魚類の資源生態に関する調査研究
日本海の水深200m付近からさらに深い場所には、この海域の漁業を支える重要な魚介類が棲息しています。高級感のあるズワイガニ(越前がに、松葉がに) はもちろんのこと、アカガレイ、ベニズワイ(べにずわいがに)、マダラ、ハタハタなど、いずれも日本海の水産業を潤す重要な資源生物です。資源生態グループでは、これらの資源をよりよく理解し、将来にわたって有効に活用していくための諸研究を展開しています。

2. 浮魚類を中心とした卵稚仔の分布生態に関する調査研究
1990年代以降、我が国のマイワシ資源は、急速に悪化するとともに、日本海でも漁獲量が大きく減りました。一方、スルメイカやカタクチイワシの資源は増加しました。資源生態グループでは、これらいわし類の卵稚仔やスルメイカ幼生の分布範囲や分布量の増減をとらえるべく、関係府県のご協力をいただきながら、毎年調査船調査を行っています。これらの調査から得られる成果は、それぞれの資源管理・資源評価に活かされています。

日本海におけるいわし類2種の卵豊度(産卵量)の経年変化

日本海におけるいわし類2種の卵豊度(産卵量)の経年変化
青森県~山口県の11府県試験研究機関と当研究所により実施された調査船調査に基づく

23年度の主な研究開発課題等

  • 底魚類の陸棚縁辺部における再生産特性と資源変動への関連解明(H23-27運営費交付金):日本海における多獲性底魚類の多くが生息場所あるいは産卵 場所として利用する陸棚縁辺部に着目し、この海域の環境条件が底魚類の資源および加入量の変動に与える影響を明らかにするために調査研究を実施す る。
  • 漁業実態や生態系に配慮した選択的底びき網の開発・実用化による操業形態の提案(H23-27運営費交付金):日本海北部の漁業実態を考慮した魚種・サ イズ選択的底びき網を開発すると同時に、その導入方法の立案を行う。最終的には、開発した網を活用し、漁業者目線を踏まえたより効率のよい漁業・ 資源管理方法を検討し、地域社会の活性化を目指す。
  • 我が国周辺水域資源評価等推進委託事業(水産庁受託):アカガレイ、マダラ、ハタハタ、ベニズワイガニ、ホッコクアカエビの資源評価を行うとと もに、卵稚仔調査によりいわし類の産卵量やスルメイカ幼生の分布範囲や分布量を調べる。

これまで(資源生態研究室当時)の研究成果等

  • ハタハタの日本海見聞録 -耳石の同位体分析でわかる水温履歴-(日本海R&T 8号 6-7頁)PDFサイズ 2,406KB
  •  ハタハタは秋田県産が有名ですが島根県~石川県の漁獲量も多く、日本海全域で重要資源です。能登半島以西には、秋田県男鹿半島と朝鮮半島東岸で生まれた2 群が来遊します。両群の割合を知るべく、耳石(骨)でわかる水温履歴の解析にトライしました。

  • 日本海でスルメイカが多いとき、稚仔はどこにいるのか?-資源高水準期と稚仔の分布範囲との関係-(日本海R&T 7号 6-7頁)PDFサイズ 1,118KB
  •  日本海でスルメイカが多いときの稚仔(幼生)の分布状況を明らかにしました。かつて資源量が少ないとき、本州中部沿岸域に稚仔は分布していました。今回の結果と併せることで、稚仔の分布範囲は資源動向を押さえる上で有効な情報と考えられました。

  • 水深2000mからの大移動 -ベニズワイの生活史と漁場水深の関係-(日本海R&T 4号 6-7頁)PDFサイズ 642KB
  •  ベニズワイは日本海の水深500~2700mに広く分布しますが、とりわけ、甲幅4~6cmの未成熟ガニは水深2000m付近に集中して分布し、成長や成熟に伴って浅い方へ移動して、漁場(水深800~1500m)に加入することが明らかになってきました。

      【学術雑誌】
    • 白井滋, 廣瀬太郎, 後藤常夫, 木暮陽一, 養松郁子, 2009: Three predominant species groups of deep-sea whelks (Gastropoda: Buccinidae) within the Sea of Japan: their molecular taxonomy and geographic distribution. Plankton and Benthos Research, 5, 1, 17-30.
    • 藤原邦浩, 廣瀬太郎, 宮嶋俊明, 山﨑 淳, 2009: 京都府沖合におけるアカガレイHippoglossoides dubius 雌の成熟体長の小型化(短報). 日本水産学会誌, 75, 4, 704-706.
    • 藤原邦浩, 宮嶋俊明, 山﨑 淳, 2009: ヤナギムシガレイTanakius kitaharai の採集個体数と遊泳行動の昼夜による違い. 日本水産学会誌, 75, 5, 779-785.
    • 森田貴己, 丹羽健太郎, 藤本 賢, 葛西広海, 山田東也, 西内 耕, 坂本竜哉, 牛堂和一郎, 田井野清也, 林 芳弘, 竹野功璽, 西垣友和, 藤原邦浩, 荒武久道, 2009: 褐藻類中のヨウ素-131濃度について. Proceeding of the tenth workshop on environmental radioactivity, 63-66.
    • 養松郁子, 廣瀬太郎, 白井 滋, 2009: Bathymetric distribution of beni-zuwai crab Chionoecetes japonicus in the northern part of the Sea of Japan, Fisheries Science, 75, 6, 1417-1429.
    • 養松郁子., 2007: ベニズワイガニかご漁業の漁場利用と資源動向. 地域漁業研究, 47(2-3), 203-216.
    • 白井 滋, 後藤友明, 廣瀨太郎, 2007: 2004年2-3月に得られた岩手沖のハタハタは日本海から来遊した. 魚類学雑誌, 54, 47-58.
    • 養松郁子, 白井 滋, 2007: 日本海大和堆北東部におけるベニズワイの深度分布と移動. 日本水産学会誌, 73, 674-683.
    • 養松郁子, 白井 滋, 廣瀨太郎, 2007: ベニズワイ Chionoecetes japonicus 雄の相対成長の変化と最終脱皮の可能性. 日本水産学会誌, 73, 668-673.
    • Hirose T., and Minami T., 2007: Spawning grounds and maturation status in adult flathead flounder Hippoglossoides dubius off Niigata prefecture. the Sea of Japan. Fisheries Science, 73, 81-86.
    • 廣瀨太郎, 養松郁子, 白井 滋, 南 卓志, 丹生孝道, 2006: 深海生物採集用大型桁網(Beni-Zuwai 1号)の開発. 水産総合研究センター研究報告, 17, 69-82.
    • Miyahara K., Ota T., Goto T., and Gorie S., 2006: Age, growth and hatching season of the diamond squid Thysanoteuthis rhombus estimated from statolith analysis and catch data in the western Sea of Japan. Fisheries Research, 80, 211-220.
    • Shirai S., Kuranaga R., Sugiyama H., and Higuchi M., 2006: Population structure of the sailfin sandfish, Arctoscopus japonicus (Trichodontidae), in the Sea of Japan. Ichthyological Research, 53, 357-368.
    • Shirai S., Yoshimura T., Konishi K., and Kobayashi T., 2006: Identification of phyllosoma larvae: a molecular approach for Japanese Panulirus lobsters (Crustacea: Decapoda: Palinuridae) using mitochondrial rDNA region. Species Diversity, 11, 307-325.
    • 養松郁子, 白井 滋, 2006: ベニズワイ雌の成熟脱皮と初産. 日本水産学会誌, 72, 1108-1110.
    • Goto T., 2005: Examination of different preservatives for Todarodes pacificus paralarvae fixed with bolax-buffered formalin-sea water solution Phuket. Marine Biological Center Research Bulletin, 66, 213-219.
    • 平川和正, 後藤常夫, 平井光行, 2004: 富山湾におけるマイワシおよびカタクチイワシ仔魚の餌料としてのカイアシ類Oithona属の分布. 日本プランクトン学会報, 51, 1-12.
    • Takahashi K., Hirose T., Azuma N., and Kawaguchi K., 2004: Diel and intraspecific variation of vulnerability in the beach mysid, Archaeomysis kokuboi to fish predators. Crustaceana, 77, 717-728.
    • 柳本 卓, 養松郁子, 渡辺一俊, 2004: 夏季のオホーツク海南西部におけるズワイガニの分布と形態学的成熟サイズ. 日本水産学会誌, 70, 750-757.

    • 【その他の雑誌・単行本】(研究紹介の記事なども含む)
    • 後藤常夫, 白井 滋, 廣瀨太郎, 養松郁子, 2008: 日本海の深海性バイ類の漁獲動向と分布. 日本海ブロック試験研究集録, 43, 71-74.
    • 廣瀨太郎, 養松郁子, 白井 滋, 南 卓志, 丹生孝道, 2008: 深海調査用大型桁網の開発. 日本海ブロック試験研究集録, 43, 22-23.
    • 白井 滋, 2008: ハタハタ日本海西部系群の由来(予報) . 日本海ブロック試験研究集録, 43, 30-31.
    • 白井 滋, 廣瀨太郎, 養松郁子, 後藤常夫, 木暮陽一, 2008: 日本海の深海性バイ類の分類と地理的分布. 日本海ブロック試験研究集録, 43, 69-70.
    • 養松郁子, 廣瀨太郎, 白井 滋, 2008: ベニズワイの深度分布と成長・成熟に伴う移動. 日本海ブロック試験研究集録, 43, 17-19.
    • 後藤常夫, 2007: イワシ―卵を数えて資源の把握―. 日本海リサーチ&トピックス, 2, 9.
    • 廣瀨太郎, 2007: 新潟県沖日本海におけるアカガレイの産卵生態. 日本海区水産研究所主要研究成果集, 2, 2-5.
    • 廣瀨太郎, 2007: 新潟県沖日本海におけるアカガレイの産卵生態-産卵場,産卵期中の親魚の移動および成熟状態-. 日本海区水産研究所主要研究成果集, 2, 2-5.
    • 森本晴之, 後藤常夫, 山田東也, 井口直樹, 2007: 日本海におけるカタクチイワシの成熟・産卵と餌環境. 日本海区水産研究所主要研究成果集, 2, 6-9.
    • 養松郁子, 2007: ベニズワイ漁業および資源に対する北部日韓暫定水域設定の影響と今後の資源管理方策. 海洋水産エンジニアリング, 7(75), 5-15.
    • 宮原一隆, 太田太郎, 後藤常夫, 2007: 日本海で漁獲されたソデイカの日齢と成長. イカ類資源研究会議報告(平成17・18年度), 56-57.
    • 桜井泰憲, 山本 潤, 森 賢, 後藤常夫, 木所英昭, 2007: 気候変化,特にレジームシフトに応答したスルメイカ資源変動は予測可能か. イカ類資源研究会議報告(平成17・18年度), 96-97.
    • 後藤常夫, 2006: 2004年10-11月の日本海におけるスルメイカ稚仔の分布. イカ類資源研究会議報告(平成17・18年度), 24-24.
    • 後藤常夫, 2006: 2003~2005年10月の日本海におけるホタルイカモドキ類卵稚仔の分布. イカ類資源研究会議報告(平成17・18年度), 139-145.
    • 木所英昭, 後藤常夫, 2006: スルメイカの分布回遊の変化と海洋環境-近年30年間の変化-. 日本海区水産研究所主要研究成果集, 1, 2-4.
    • 白井 滋, 2006: 秋田産ハタハタは隠岐海域にまで回遊する. 日本海区水産研究所主要研究成果集, 1, 5-7.
    • 白井 滋, 2005: ハタハタ2001年生まれ群の資源豊度: 日本海北部の場合. 日本海区水産試験研究連絡ニュース, 406, 2-6.
    • 白井 滋, 2005: 軟骨魚類. 魚の科学事典(谷内 透, 中坊徹次, 宗宮弘明, 谷口 旭, 青木一郎, 日野明徳, 渡邊精一, 阿部宏喜, 藤井建夫, 秋道智彌 編), 朝倉書店, 東京, pp. 22-37.
    • 白井 滋, 2005: 顎が出る話し, 魚の形を考える(松浦啓一 編), 東海大学出版会, 神奈川, pp. 201-228.
    • 廣瀨太郎, 2004: 深海用桁網のテスト航海. 日本海区水産試験研究連絡ニュース, 405, 1-4.
    • 廣瀨太郎, 2004: 日本海におけるアカガレイの標識放流. 日本海区水産試験研究連絡ニュース, 404, 1-5.

    グループの構成

    • グループ長:養松 郁子
    • 主任研究員:上田 祐司
    • 主任研究員:藤原 邦浩
    • 研究員:吉川 茜
    • 任期付研究員:佐久間 啓
    • 臨時職員:2名