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資源環境部

2018.4更新

浅海環境グループ

研究内容

  • 浅海環境グループは、日本海沿岸の水産資源の増大をめざして、主に波打ち際の砂浜から陸棚浅海底に至る海域の資源生物と海洋環境との関係を調べています。潮汐の振幅が少ない日本海沿岸では、大規模な干潟は発達せず、代わって砂浜が発達しています。このような砂浜沿岸域は、ヒラメ等の稚魚や渡り鳥の索餌場として重要であり、水産業や観光業に利用されているだけでなく、干潟に代わる水質浄化や防災等の国土保全の最前線ともなっており、様々な人間活動が営まれています。かつて新潟市周辺の海岸線は、信濃川と阿賀野川から供給される土砂によって幾重もの砂丘が発達する典型的な砂浜でした。しかし、明治以降深刻な海岸浸食をうけ、護岸や突堤や離岸堤等が相次いで建設されました。現在ではこれらの人工構造物によって一連の砂浜が短く分断化された状況となっています。この分断化にともなう環境変化が、砂浜沿岸漁場にどういう影響を与えているのか知るために、魚類の餌となるアミ類やヨコエビ類が、どのような立地条件の砂浜に数多く生息するかを調査しています。砂泥底に生育する生物の生存条件を左右する重要な環境指標として、底質の硬度を測定する手法を開発し、底質の硬度が実際の生物の分布や行動にどのように作用するかを、野外調査や室内実験によって研究しています。
  • 沿岸砂浜域から沖合に向けて伸びる広大な陸棚浅海底は、ヒラメ・カレイ類等の底魚成魚やエビ・カニ類等の甲殻類、二枚貝を中心とした軟体類等、多様な有用魚介類と餌料生物の生息場となっており、日本海における主要漁場の一つでもあります。本海域では、海洋で生産される有機物や河川水を通じて陸域から供給される有機物を出発点とした複雑な食物網が形成されていると考えられますが、その全容は未解明です。一方、陸棚浅海底を漁場として利活用するとともに、漁場環境を永続的に維持、保全していくためには、海域生態系の仕組みを解明することが重要です。そこで、水温・塩分や底質粒度組成、堆積有機物量等の海洋環境と出現生物の種組成や分布パターン等に関するデータを集積し、解析を行っています。さらに、調査で得られた堆積物や各種生物の化学分析を精密機器により実施することで、浅海漁場における餌料有機物の供給源や食物網の構造を数値化して示し、漁場環境の現状評価や将来予測に資する研究を推進しています。

佐渡島(新潟県)の砂浜における生物分布と環境の調査

佐渡島(新潟県)の砂浜における生物分布と環境の調査

砂質浅海域に生息する二枚貝類が水管を伸ばしたところ

砂質浅海域に生息する二枚貝類が水管を伸ばしたところ

採泥器による海底堆積物の採集

採泥器による海底堆積物の採集

日本海陸棚砂泥底から採集された底生動物

日本海陸棚砂泥底から採集された底生動物

主な研究開発課題等

  • 一般研究「環境変化が干潟・浅海砂浜生態系に及ぼす影響の評価とその保全・修復技術の開発」:二枚貝等の漁業生産を改善するために,生物と環境要因との関係を調べ,対策及び再生策を検討する。
  • 水産庁事業「砂質浅海域における環境及び生物多様性調査」:野外調査により環境と生物分布の特性の現状把握を行い,沿岸生物の多様性を評価する手法を開発する。
  • 水産庁事業「統合的な生物多様性評価」:アサリ漁場をモデルとする砂質浅海域の調査データを活用し,多様性指標の解析とその簡便化の手法を検討する。
  • 科研費基盤A「沿岸底生生態・地盤環境動態の統合的評価予測技術の開発」:沿岸域の効果的な管理のために,日本海沿岸の冬季の強い波浪による季節的な攪乱が沿岸生物に及ぼす影響を調査する。

主な成果

  • Takada, Y., Kajihara, N., Abe, S., Iseki, T., Yagi, Y., Sawada, H., Saido, H., Mochizuki, S., Murakami, T. (2015) Distribution of Donax semigranosus and other bivalves in sandy shore swash zones along the Japan Sea coast of Honshu. VENUS 73: 51-64.
  • Takada, Y., Kajihara, N., Mochizuki, S., Murakami, T. (2015) Effects of environmental factors on the density of three species of paracarid crustaceans in micro-tidal sandy shores in Japan. Ecol. Res. 30: 101-109.
  • Takada, Y. (2015) Morisita’s prosperity index revisited. Biodivers. Conserv. 24: 2093-2097.
  • Takada, Y., Kajihara, N., Iseki, T., Yagi, Y., Abe, S. (2016) Zonation of macrofaunal assemblages on microtidal sandy beaches along the Japan Sea coast of Honshu. Plankton Benthos Res. 11: 17-28.
  • 高田宜武, 手塚尚明 (2016) 干潟漁場における多様度指数. 海洋と生物, 38: 633-640.
  • Takada, Y., Sakuma, K., Fujii, T., Kojima, S. (2018) Phylogeography of the sandy beach amphipod Haustorioides japonicus along the Sea of Japan: paleogeographical signatures of cryptic regional divergences. Estuar. Coast. Shelf Sci. 200: 19-30.
  • Takada, Y., Kajihara, N., Sawada, H., Mochizuki, S., Murakami, T. (2018) Environmental factors affecting benthic invertebrate assemblages on sandy shores along the Japan Sea coast: implications for coastal biogeography. Ecol. Res. 33: 271-281.
  • 木暮陽一 (2014) 長崎県対馬北東及び南部海域間の底質・底生動物相の顕著な海域差. 日本生物地理学会会報, 69: 37-44.
  • Kogure, Y., Khotsuka, H. (2014) A new species of ophidiasterid sea star, Copidaster japonicus (Echinodermata: Asteroidea), from Japan. Biogeogr. 16: 41-46.
  • Kogure, Y. (2015) Localities and morphological characteristics of two Luidia sea star species (Echinodermata, Asteroidea) found in Japanese waters. Biogeogr. 17: 119-124.
  • Kogure, Y., Moritaki, T. (2016) Rediscovery of a rarely encountered sea star, Lithosoma japonica (Echinodermata, Asteroidea, Goniasteridae), from southeastern Japan. Biogeogr. 18: 17-22.
  • 木暮陽一, 金子篤史 (2018) 日本初記録のゴカクヒトデ類(棘皮動物門,海星綱,アカヒトデ目)Glyphodiscus perierctus ユメゴカクヒトデ(新称). 日本生物地理学会会報, 72: 204-208.
  • 木暮陽一 (2018) 炭素・窒素安定同位体比による日本海南部沿岸域における食物網構造の解析. 日本生物地理学会会報, 72: 11-17.
  • Komazawa, I., Sakanishi, Y., Tanaka, J. (2014) Temperature requirements for growth and maturation of the warm temperate kelp Eckloniopsis radicosa (Laminariales, Phaeophyta). Phycol. Res. 63: 64-71.
  • 坂西芳彦 (2014) 褐藻コンブ目ネコアシコンブ Arthrothamnus bifidus (Gmelin) Ruprecht胞子体の生長速度.藻類(日本藻類学会和文誌)62: 137-142.
  • 坂西芳彦・阿部信一郎・小松輝久 (2015) 佐渡島両津湾における海草群落の分布下限水深.藻類(日本藻類学会和文誌)63: 85-89.
  • Sakanishi, Y., Kasai, H., Tanaka, J. (2017) Trade-off relationship between productivity and thallus toughness in Laminariales (Phaeophyceae). Phycol. Res. 65: 103-110. (第21回日本藻類学会論文賞)
  • 駒澤一朗・坂西芳彦・田中次郎 (2017) 暖海性コンブ目藻類アントクメのパンチ法および光合成法による純生産量の比較.日本水産学会誌83: 349-360.
  • Sakanishi, Y., Komatsu, T. (2017) Growing depth limit of Zostera caulescens in coastal waters along the Japan Sea coast of Honshu, Japan. Fish. Sci. 83: 977-986.

グループの構成

  • グループ長:木暮 陽一
    • 主幹研究員:高田 宜武