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資源生産部

2018.4更新

資源増殖グループ

研究内容

 資源増殖グループでは,日本海の沿岸域の水産資源を積極的に増やし、合理的に利用するための研究と、日本海沿岸で実施可能な養殖技術を開発するための研究に取り組んでいます。
 水産資源を増やすには、禁漁期の設定、稚魚や産卵親魚の保護区域の設定、小型魚を獲らないための漁獲規制、稚魚の放流などがあります。当グループでは、日本海の重要な魚介類であるイワガキ、アカアマダイ、キジハタ、ハタハタ等を研究対象として、これらの魚種の仔稚魚や親魚の飼育実験を行い生態や性質を解明し、水温などの環境変化が成長や生残、成熟に及ぼす影響を明らかにするための研究を行っています。
 また、近年、日本各地でニジマスの海面養殖が行われています。水温の低い時期に海水で飼育されたニジマスは大きく育ちトラウトサーモンと呼ばれています。日本海でもトラウトサーモンの養殖が行われるようになったことから、トラウトサーモン養殖に必要なニジマス稚魚の海水馴致技術や、日本海の環境に適した飼育技術の開発にも取り組んでいます。

キジハタ育成魚(体重500g)

キジハタ育成魚(体重500g)

ニジマス

海上飼育で約1.5kgに育ったニジマス

主な研究開発課題等

  • 一般研究「飼育実験等に基づく重要魚種の資源特性値の把握」
    ハタハタ、ハタ類・アカアマダイ等の日本海の重要魚種につき、飼育実験を行って水温や餌料条件が卵・仔稚魚の生残や成長・行動・成熟に及ぼす影響等を調べることでそれぞれの種の生物特性を明らかにし、資源解析や資源管理に役立てます。
  • 一般研究「日本海沿岸域における生産構造特性の解明および重要水産資源の管理と増殖に関する研究」
    ヒラメやハタ類などの天然魚を、人為的な環境に順応させる飼育技術や、低コストで省力的かつ高い生残率が得られる親魚の養成技術を開発します。またイワガキでは、天然採苗を効率的に行うために親貝の成熟状況を調査して産卵盛期を的確に推定するとともに、稚貝を効率良く付着させる技術の開発を進めます。
  • 農林水産技術会議 革新的技術開発緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト) 「二枚貝養殖の安定化と生産拡大の技術開発」
    イワガキの浮遊幼生期の生き残りに適した環境や,様々な水温や塩分下での浮遊期間を明らかにして,天然採苗に最適な時期の検討に役立てます。さらに,着底後の稚貝の外敵生物からの捕食の実態を明らかにするとともに,捕食を軽減する方法を検討します。
  • 農林水産技術会議 革新的技術開発緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト) 「国際的養殖拠点の構築を目指した海面養殖トラウト一貫生産技術体系の確立」
    ニジマスの海面養殖に必要となる、淡水から海面での馴致飼育方法の開発(水温較差対策等)。高成長を安定的に達成するための給餌プログラムの開発等を、福井県の官民と共同研究チームを組んで行います。
  • 一般研究「水産業における匠の技術継承のための研究開発」
    魚介類の飼育技術を後継の技術者に継承・普及する目的で、飼育作業や管理業務を動画データとして撮影・保存することで常時視聴可能なシステムを構築するとともに、作業の省力化や安全性の向上に繋げます。
  • 水産庁事業「栽培漁業総合推進委託事業」
    「新たな栽培対象種の技術開発促進」:若狭湾におけるアカアマダイの資源調査に加えて、関係府県が取り組むアカアマダイ、アカムツ種苗の大量生産に関する技術開発の支援を行います。

主な成果

・アカアマダイについて、これまで開発された種苗生産や種苗放流技術を紹介するとともに、疾病対策等に関するいくつかの研究成果を報告しました。
  1. 竹内宏行(2015)アカアマダイの人工種苗生産.海洋と生物216,6-11.
  2. 竹内宏行(2016)新たな栽培対象種の開発促進に期待-アカアマダイ.豊かな海40,17-20.
・アカアマダイの年齢を耳石の横断面を調査したことにより10歳以上の高齢魚の年齢査定が可能となり、同海域の漁獲物に15歳以上の高齢魚が含まれることが明らかとなりました。
  1. 井関智明・町田雅春・竹内宏行・八木佑太・上原伸二 (2017) 耳石横断面法と表面法を用いた若狭湾西部海域におけるアカアマダイの年齢と成長.日水誌,83:174-182.
・ズワイガニ稚ガニの大量生産に世界で初めて成功し、この生産技術を用いて幼生や稚ガニ期の様々な生態を飼育下で明らかにしました。
  1. 長年の成果実る!~世界で初めてズワイガニの種苗量産に成功~(プレスリリース 2008年6月27日)
  2. 世界記録を更新!-ズワイガニの稚ガニ,生産尾数3万尾を突破-(栽培漁業センタートピックス No.149. 2009年8月3日)
  3. 小西望美・瀬戸雅文・山本岳男・髙橋庸一. 2011. ズワイガニ人工幼生の遊泳生態に基づいた数値幼生モデルの開発. 土木学会論文集B3. 67, I_310-I_315.
  4. Yamamoto, T., Yamada, T., Fujimoto, H., Hamasaki, K., 2014. Effects of temperature on snow crab (Chionoecetes opilio) larval survival and development under laboratory conditions. J. Shellfish Res. 33, 19-24.(ズワイガニ幼生の生残と発育に及ぼす水温の影響)
  5. Yamamoto, T., Yamada, T., Fujimoto, H., Hamasaki, K., 2015. Effects of salinity on snow crab (Chionoecetes opilio) larval survival and development under laboratory conditions. J. Shellfish Res. 34, 499-504.(ズワイガニ幼生の生残と発育に及ぼす塩分の影響)
  6. Yamamoto, T., Yamada, T., Fujimoto, H., Hamasaki, K., 2015. Food consumption pattern in the snow crab Chionoecetes opilio (Fabricius, 1788) (Decapoda, Majoidea) megalopae under laboratory conditions. Crustaceana 88, 881-891.(ズワイガニのメガロパ幼生の摂餌パターン)
  7. Yamamoto, T., Yamada, T., Fujimoto, H., Hamasaki, K., 2015. The moulting cycle and changes in body density in larvae of the snow crab Chionoecetes opilio (Brachyura: Majoidea) under laboratory conditions. Invertebr. Reprod. Dev. 59, 176-187.(ズワイガニ幼生の脱皮周期と体密度の変化)
  8. Yamamoto, T., Yamada, T., Kinoshita, T., Ueda, Y., Fujimoto, H., Yamasaki, A., Hamasaki, K., 2015. Effects of temperature on growth of juvenile snow crabs, Chionoecetes opilio, in the laboratory. J. Crust. Biol. 35, 140-148.(ズワイガニ稚ガニの成長に及ぼす水温の影響)
  9. Yamamoto, T., Yamada, T., Kinoshita, T., Ueda, Y., Fujimoto, H., Yamasaki, A., Hamasaki, K., 2015. Growth and moulting of wild-born immature snow crabs, Chionoecetes opilio (Fabricius, 1788) (Decapoda, Majoidea), in the laboratory. Crustaceana 88, 911-922.(天然海域から採集した未成熟ズワイガニの成長と脱皮)
  10. 山本岳男山田達哉・藤本 宏・浜崎活幸. 2016. ズワイガニの種苗生産過程における第2ゾエア期幼生の移槽方法と移槽による生残への影響. 水産増殖. 64, 139-146.
  11. Yamamoto, T., Jinbo, T., Hamasaki, K., 2017. Intrinsic optimum temperature for the development of decapod crustacean larvae based on a thermodynamic model. J. Crust. Biol. 37, 272-277.(熱力学モデルに基づいた甲殻類幼生の内的な発育最適温度)
  12. 12. Yamamoto, T., Yamada, T., Kinoshita, T., Ueda, Y., Yamasaki, A., Hamasaki, K., 2018. Moulting and growth in earlier and later moulters of adolescent male snow crabs (Chionoecetes opilio) (Brachyura: Majoidea) under laboratory conditions. Invertebr. Reprod. Dev. in press.(雄ズワイガニの早期脱皮群と後期脱皮群の脱皮と成長)

・新潟市水族館「マリンピア日本海」および富山県農林水産総合技術センター水産研究所との共同研究で2013年に初めてアカムツ(ノドグロ)稚魚の生産に成功しました。
  1. 山田達哉・八木 佑太・飯田直樹・新田 誠(2015)アカムツの人工稚魚生産に成功.海洋と生物216,12-18
  2. ・ヒラメの栽培漁業において,放流前に稚魚を天然海に設置した囲い網で馴致すると,放流後の生残率向上が期待できることと,放流後の食害の実態について明らかにしました。
    1. Walsh, M.L., Fujimoto, H., Yamamoto, T., Yamada, T., Takahashi, Y., Yamashita, Y., 2013. Post-release performance and assessment of cage-conditioned Japanese flounder, Paralichthys olivaceus, in Wakasa Bay, Japan. Rev. Fish. Sci. 21, 247-257. (若狭湾において囲い網で馴致したヒラメの放流後の種苗性と評価)
    2. Walsh, M.L., Fujimoto, H., Yamamoto, T., Yamada, T., Takahashi, Y., Yamashita, Y., 2012. Case studies in flatfish stock enhancement: A multi-year collaborative effort to evaluate the impact of acclimation cage conditioning for Japanese flounder, Paralichthys olivaceus, in Wakasa Bay, Japan. Bull. Fish. Res. Agency 35, 93-102.(異体類の資源増大に関する事例研究:ヒラメの囲い網馴致の影響を評価するための複数年にわたる共同努力)
    3. 藤本 宏・山田達哉山本岳男. ヒラメは囲い網で馴致すると種苗性が向上する!?. 日本海リサーチ&トピックス. 9, 9-11.
    4. 山田達哉山本岳男・長副 聡・竹内宏行・高原英生. 2014. イシガニによる人工ヒラメの捕食について. 日本海リサーチ&トピックス. 15, 13-15.

    グループの構成

    • グループ長:山田 達哉(小浜庁舎)
      • 主任研究員:井関 智明(小浜庁舎)
      • 主任研究員:山本 岳男(小浜庁舎)
      • 主任研究員:清水 健(宮津庁舎)
      • 主任研究員:竹内 宏行(宮津庁舎)